栄養素を知ろう!
脂質
特徴
脂質は肉の脂や植物油、コレステロールなどの主な成分で、炭水化物やたんぱく質とともに3大栄養素といわれています。身体の主要なエネルギー源になるほか、細胞膜やホルモン、体の仕組みに働きかける生理活性物質の材料になるといった重要な役割があります。余った脂質は中性脂肪として主に脂肪細胞に貯蔵されます。不足すると、疲労しやすくなったり免疫力が低下したりするため、適度な脂質は身体にとって非常に大切です。しかし現在、食生活の欧米化により日本人の脂質摂取量は増え、むしろ摂りすぎによる肥満や脂質異常症、メタボリックシンドローム、動脈硬化などといった生活習慣病が問題となっています。
働き
エネルギーを産生する
食べ物に含まれる脂質は体内で分解され、細胞の中で1gあたり9kcalのエネルギーを産生します。エネルギーは炭水化物やたんぱく質からも作られますが、これらのエネルギー産生量が1g当たり4kcalということと比べると、脂質はエネルギー効率が高い栄養素といえます。
燃料として貯蔵される
使い切れなかった脂質は他のエネルギー源同様、中性脂肪に変えられ、体脂肪として蓄えられます。そのため脂質をとりすぎると肥満や脂肪肝の原因となり、さらに血液中の中性脂肪やコレステロールが増える脂質異常症や、メタボリックシンドローム、動脈硬化、心筋梗塞や脳梗塞などの原因にもなります。
身体を作る成分となる
脂質は細胞膜の構成成分になります。脂質は水を弾くため、細胞の内外に必要以上に水が出入りしないよう作用します。脂質はそのほかホルモンや生理活性物質といった、体の仕組みに働きかける物質の材料にもなっています。このように細胞レベルでも重要な働きをするので、ダイエットだからといって極端に脂質を制限するのは厳禁です。
脂溶性ビタミンの吸収をよくする
ビタミンの中には、水には溶けず油脂に溶けるものがあります。脂質はこれらのビタミンを溶かし込んで、吸収しやすくします。
脂質が不足すると…
疲労、やせ、肌荒れ、体力低下、免疫能低下、月経異常など
脂質を摂りすぎると…
肥満、脂肪肝、脂質異常症、動脈硬化など
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マメ知識
脂肪は酸素と反応してエネルギーを産み出すため、体脂肪を燃焼させるには酸素が必要ということになります。そのためには短距離走のような無酸素運動ではなく、ジョギングやウォーキングのように酸素をたくさん取り込む有酸素運動が有効です。運動を開始してから体脂肪が燃え始めるまでには、20分ほどかかります。また体力アップのためにも、30分程度は続けて運動をしたほうがいいとされています。ただし運動による代謝の活性化は運動後もしばらく続くため、10分以上の運動をこまめに行うことでも、体脂肪を減らす効果はあります。
多く含む食品
- 植物油、ラード、バター・マーガリン、マヨネーズ、生クリーム、脂身の多い肉(たとえばばら肉、鶏皮など)、脂の乗った魚(たとえばまぐろのとろ、さんま、うなぎなど)、ナッツ、揚げ物、油漬け缶詰(ツナ、サーディンなど)など
効率よく摂るには
脂質はエネルギー源ですから、食物繊維、ビタミン、ミネラルと組み合わせると、ゆっくりと吸収され、また効率よく利用できます(エネルギーの項をご覧ください)。