なし - 旬の食材薀蓄(うんちく、ウンチク)
意外! 水分以外にも隠された栄養素がたくさん!
包丁で皮をむくときに手に伝わる果肉のツブツブとした振動、食べたときのシャクシャク感は、なしならではのものですよね。
皮をむく…この瞬間からなしを味わう醍醐味が始まっているのです。
一般になしといわれているものは、日本なしのことです。古くから日本で栽培されており、「日本書紀」にも当時から栽培されていることが記されています。
今では、日本なし、中国なし、西洋なしと三種あります。
日本なしは幸水・豊水・二十世紀、中国なしはヤーリー・ツーリー、西洋なしはバートレット・ラフランス・ルレクチェなど、さまざまな品種のなしを口にすることができます。
日本なしは果汁たっぷりの爽快感、中国梨は歯ごたえのあるざっくり感、西洋なしはバターのようななめらかさと濃厚感をそれぞれ楽しむことができます。
同じなしでもそれぞれの特徴があるので、好みやシチュエーションに合わせた食べ方ができると良いですね。
今回取り上げている日本なし。この主成分はほとんどが水分です。
ただ、甘味成分である果糖が含まれているので、夏の暑い日の水分補給やエネルギー補給に効果的。
また、爽やかな酸味成分のクエン酸やリンゴ酸も多く含んでいるので、夏バテ予防や疲労回復効果もあるんですよ。
同じく、スタミナ増強や疲労回復に効果的といわれるアスパラギン酸や、冷涼感とすっきりとした後味を持つ甘味成分で、虫歯になりにくいソルビトールという糖アルコールも多く含まれています。
カリウムが多く含まれていることも特徴ですね。カリウムは塩分の排泄を促し、血圧を正常に保つ働きがあります。
まさに夏バテ気味な今の時期や、塩辛い物を食べ過ぎているときに積極的に摂りたい食材です。
このようになしは、水分が多いながらも様々な成分を持っているのです!
でもなんといっても、なしの一番の特徴は、食べたときのあのザラザラとした感触ではないでしょうか。
その正体は、果肉の中にある石細胞という食物繊維の一種です。この独特の食感がなしの美味しさを特徴づけているといえるでしょう。
食物繊維の少ない食事(つまり野菜・海藻類が少ないとき)には、デザートになしを食べれば、便秘予防に有効です。
また漢方の効果として強い解熱作用をもっているので、風邪や扁桃腺の炎症の時に食べると症状が和らぐとされています。
が、ここで注意!
妊婦やもともと冷え性の人が食べ過ぎるとかえって体を冷やすことになるので、食べすぎには注意しましょう。
~お役立ち薀蓄~なしの強い解熱作用は、冷え性の人には禁物!食べすぎに注意しよう!
上手に選ぶコツ
- 日本なし
ずっしりと重いもの
皮にハリ・ツヤがあるもの - 西洋なし
軸のしっかりしているもの
旬の時期
8月下旬~10月頃
なしのうれしい機能
石細胞
なしを食べたときのザラザラしたものが石細胞です。リグニン・ペントザンからなる厚膜細胞で、その密度は品種によって異なりますが、日本梨にはとくに多く含まれています。食物繊維の一種なので、便秘の解消を促すといわれています。