あさり - 旬の食材薀蓄(うんちく、ウンチク)
小粒だけど、旨味あり、貧血予防効果もあり!
日本で食べられる貝で、最もポピュラーなのは、なんといってもあさりでしょう。
日本では、全国の内湾に分布しており、主産地は東京湾、伊勢湾、三河湾、瀬戸内海、有明海などです。
「あさり」の名は、遠浅の浜辺で誰でも手軽にとれることから、あるいは、「漁(あさ)る」が名前の由来ともいわれています。
あさりには、姫あさりや、うちむらさきといった仲間もいます。
内湾に棲むあさりにはひげがあるのですが、姫あさりは外海のきれいな環境に棲んでいるので、水管の先にヒゲがありません。そこで、姫あさりといわれます。
うちむらさきは殻の大きさが8.5㎝ほどで、殻の内側がむらさき色をしているところからこの名がついています。
あさりを使った料理に深川丼があります。深川丼は、江戸時代末期に江戸深川の漁師が食べ始めたのが由来といわれています。
味噌汁にとれたてのあさりや季節の野菜を入れて煮て、白いご飯にかけた庶民的な料理でした。
漁獲量が豊富であったため単価が安く、調理も簡単なため早く用意ができ、さらに素早くかき込むことができるこのあさり丼は、せっかちな江戸っ子にはもってこいの食事だったようです。
あさりには、独特の旨味がありますが、これはコハク酸という旨味成分です。これは、しじみやはまぐりなどの貝類やお酒にも含まれます。
貝自体に旨味があるので、あさりのみそ汁などでは、かつお節の出汁はあえてとらなくてもおいしくいただけるのです。
ところで、あさりのみそ汁を作るときは、水から入れるか、それともお湯から入れるか。
地方によって、家庭によっても異なるようですが、旨味成分のコハク酸は、水から入れて加熱した方がお湯からよりも汁の中に多く浸出します。
栄養成分としては、鉄分やビタミンB12などが含まれます。これらは貧血防止に必須の栄養分。
また、コレステロール低下作用のあるタウリンも含まれます。
さあ、潮干狩りの季節です。さんさんときらめく春の陽光のもと、みんなで海辺に繰り出しましょう!
~お役立ち薀蓄~あさりの旨味成分をいっぱい出すなら、みずから加熱を!
上手に選ぶコツ
- 殻の模様がきれいで表面にぬめりのあるもの。
- 殻を硬く閉じていて、塩水に入れると水管を出すもの。
旬の時期
3月~4月
あさりのうれしい機能
鉄
赤血球に含まれるヘモグロビンの構成成分。酸素の運搬に働くので、不足すると息切れやめまいなどが起こります。 「栄養素を知ろう!」でさらに詳しい情報>>ビタミンB12
葉酸とともに、赤血球のヘモグロビンの合成に働きます。また、神経細胞内のたんぱく質や脂質、核酸の合成を助け、神経系を正常に働かせる作用もあります。 「栄養素を知ろう!」でさらに詳しい情報>>タウリン
胆汁酸の分泌を促進することで、その材料であるコレステロールの排泄を促し、胆石や動脈硬化を予防する効果や、交感神経の興奮を鎮めることで、食塩由来の高血圧を防ぐ効果か期待されています。そのほか、うっ血性心不全や肝炎の改善にも有効です。