さわら - 旬の食材薀蓄(うんちく、ウンチク)
淡白な味の中にうまみがぎっしり!
さわらは高級魚の一種です。関西地方、特に瀬戸内海沿岸の人々にはなじみの魚で、「さわらが来ないと春が来た気がしない」といわれるほどです。
さわらの産卵期は4~6月。この頃、産卵のためにさわらが瀬戸内海にやってきます。このさわらによって「春を知る」ところから、「鰆」と書くようになったそうです。
しかし、漢字だと「魚偏に春」と書きますが、実はさわらの旬は冬という地方も。この時期脂ののったさわらは寒さわらと呼び、関東では大変好まれています。
さわらは、西京漬け、照り焼きなどによく用いられ、店頭では切り身で売られているため、その姿はあまり知られていないと思いますが、大型の魚で全長は1mくらい、大きいものでは2mにもなります。
さわらの身はきれいな白身で味は淡白ですが、脂質含有量が比較的多く、トロのような食感、そして皮と身の間にある独特の風味を味わうことができます。
一般的には焼いて食べるのがあたりまえのようですが、刺身はさわらのうまさを堪能するにはもってこい!
刺身に使うさわらは、至極鮮度のよいものを皮をつけたままつくるのが原則。
そのわけは、身と皮の間の独特な香りを生かすためと、やわらかい身肉なので、皮をつけて刺身にしないと形がくずれてしまうから。
また、皮がついているほうが歯ごたえがあってよいのです。
しかし残念ながらこの刺身、漁場の船上の漁師か、漁港近くに住んでいる人たちしか口にすることはできません。それだけ鮮度が命なのです。
ですから、ご家庭で食べる時は、加熱して食べることをおすすめします。
さわらの濃厚な味わいは、そのエキス分からもたらされています。味わいを左右するひとつであるエキス分中の窒素量は、筋肉100gに対し450mgも含み、鯛や鰤などに匹敵するくらいの含有量です。
イノシン酸、カルノシン、カルニチンなどコク味のある成分も多くなっています。
栄養成分では、DHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富で、その含有量はDHAが多いといわれるまぐろやさんま、さばなどに肩を並べるくらいです。
また、IPA(イコサペンタエン酸)も含まれています。
さわらの刺身は食べられないけれど、今が美味しい寒さわらの西京焼きなどで熱燗をいっぱい、なんていうのもおつなものです。
~お役立ち薀蓄~鰆(さわら)の漢字にまどわされるな。旬は春ではなく、冬!
上手に選ぶコツ
- 目が澄んでいる
- エラが鮮紅色
- 体表に光沢がある
- 身が硬く腹がよく締まっている
旬の時期
11月~3月
さわらのうれしい機能
DHA(ドコサヘキサエン酸)
血中の中性脂肪やコレステロールの量の調節を助け、また血栓ができにくいようにして、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの予防を助けます。脳神経の発育や維持にも重要で、不足すると学習能力や記憶力に影響を与えるといわれています。アレルギーの症状を和らげる働きもあります。 「栄養素を知ろう!」でさらに詳しい情報>>IPA(イコサペンタエン酸)
DHAと同様に、悪玉(LDL)コレステロールを減少し善玉(HDL)コレステロールを増加させるほか、血液凝固を抑制する作用などがあります。血液凝固作用はDHAよりもIPAの方が強いのが特徴です。 「栄養素を知ろう!」でさらに詳しい情報>>