ビタミンD - 栄養素を知ろう!
私たちの体にどんな影響を与えるのか?
特徴や働きを知りましょう。
特徴
ビタミンDはカルシウムやリンの吸収と深い関係があり、カルシウムを調節するホルモンのような物質と考えられています。
骨の形成に必要とされるほか、がん細胞の増殖を抑えたり、免疫系を調節したりする働きもあります。
油脂に溶けやすく、光、熱、空気酸化、酸によって壊れやすいですが、食品中では比較的安定しています。
また日光浴により、体内でも一部合成されます。
不足すると丈夫な骨が作られなくなり、骨軟化症やくる病などを引き起こします。
働き
血中カルシウム濃度を保つ
ビタミンDは血液中のカルシウムの濃度を一定に保ちます。
体内のカルシウムの1%は血液中に存在し、神経の情報伝達や筋肉の収縮にかかわっています。
カルシウムの摂取不足で血液中のカルシウム濃度が低下しそうになると、ビタミンDがカルシウムの吸収を促進したり、骨のカルシウムを血液に取り出したりして、カルシウム濃度を保ちます。
カルシウム吸収を促進することから、カルシウム不足から起こる動脈硬化を抑える働きも期待されます。
ビタミンDが不足するとカルシウム濃度が低下し、筋力低下につながります。
血中リン酸濃度を保つ
ビタミンDはリンの吸収を促進し、血液中のリン酸の濃度を一定に保ちます。
リンは骨や歯の材料になったり、細胞膜の成分となったり、エネルギー産生にかかわったりしています。
骨の形成を助ける
ビタミンDは腸でのカルシウムやリンの吸収を促進し、骨に沈着するよう促します。
そのため、たとえカルシウムを十分に摂取したとしても、ビタミンDが不足していると丈夫な骨が作られません。
不足すると小児では発育不全やくる病、成人では骨軟化症となり、関節の変形やO脚、X脚を招きます。
また高齢者では骨がもろくなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の原因にもなります。
ガン細胞の増殖を抑える
直腸ガン、前立腺ガン、乳ガンなど、少なくとも一部のがん細胞の増殖を抑える働きがあるようです
免疫系を調節する
免疫細胞をコントロールして、不必要な炎症を起こしにくくします。
ビタミンDが不足すると…
くる病、骨軟化症、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、関節の変形、虫歯、筋力低下など
ビタミンDを摂りすぎると…
腎障害、吐き気、食欲不振など
普通の食事をしていれば過剰症の心配はありません。
しかしサプリメントに関しては、記載されている摂取目安量以上を長期服用すると過剰症がみられることもあります。
マメ知識
人間は紫外線(日光)に当たることによって、体内でコレステロールからビタミンDを一部合成することができます(※)。
実はこれ、しいたけも同様なのです。
昔の干ししいたけは、生しいたけの約9倍のビタミンDを含んでいました。
これは生しいたけに含まれる成分が、紫外線によってビタミンDに変化するためです。
しかし最近の干ししいたけは機械乾燥によって作られるものがほとんどで、ビタミンD含有量が少ないのが現状です。
そのため調理前に1時間ほど日光に当て、ビタミンD含有量を増やすことをおすすめします。
※適度な日光浴はビタミンDの合成を促しますが、大量に紫外線を浴びると皮膚ガンなどの原因になるので注意が必要です。
多く含む食品
- さけ、にしん、さんま、うなぎ、かれい、かつお、かつおの塩辛、しらす干し、卵、きくらげ、まいたけなど