トランス脂肪酸 - 栄養素を知ろう!

私たちの体にどんな影響を与えるのか?
特徴や働きを知りましょう。

特徴

トランス脂肪酸はトランス型不飽和脂肪酸ともいい、不飽和脂肪酸の一種です。
「トランス」とは”横切って”という意味。
脂肪酸は炭素原子がつながった鎖を土台に作られていますが、不飽和脂肪酸の場合、この鎖に「二重結合」というジョイント部分があります。
トランス脂肪酸ではこの二重結合部分を”横切って”(つまり鎖をはさんで向かい合った形で)2つの水素原子が付くことから、このような名前になっています。

  私たちが口にするトランス脂肪酸のほとんどは、工場でマーガリンやショートニング、植物油などを作ったり高温で熱したりする過程で作られます。
一方、天然の食品にはトランス脂肪酸がほとんどなく、羊、山羊などのはんすう動物の肉や乳・乳製品中に、動物の胃に住む微生物が作ったものが、わずかに含まれるのみです。

  トランス脂肪酸は、他の脂肪酸と同じように消化・吸収され、最終的には燃やされてエネルギーを産み出します。
それ以外の働きについてはまだ詳細がよく分かっておらず、脂肪酸の種類によって違う可能性もあります。
しかし工業的に作られるトランス脂肪酸の摂りすぎが、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増やして心臓病の原因となることは、ほぼ確実といわれています。
そのためWHO(世界保健機構)は、トランス脂肪酸の摂取量を摂取エネルギーの1%未満に抑えるよう勧めています。

働き

悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす

天然のトランス脂肪酸については不明ですが、少なくとも工業的に作られるトランス脂肪酸には、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の合成を促し、善玉コレステロール(HDLコレステロール)の合成を抑える作用があります。
そのため摂りすぎると余分な悪玉コレステロールが血管に残り、血管壁に入り込んで血管を変質させ、動脈硬化、心筋梗塞などの生活習慣病の原因になります。
トランス脂肪酸が血管を傷める作用は、肉の脂身やバターに多く含まれる飽和脂肪酸以上に強いといわれています。

エネルギー源となる

脂質の一部として、エネルギー源となります。

トランス脂肪酸が不足すると…

摂る必要性は認められていません。

トランス脂肪酸を摂りすぎると…

動脈硬化、心臓病
  そのほか糖尿病、内臓脂肪の蓄積、脂質異常症(高コレステロール、高中性脂肪)、高血圧などを進行させる疑いがあります。

マメ知識

ここ10年の各種の調査からみた日本人のトランス脂肪酸摂取量は、平均0.4-1.7g(摂取エネルギーの約0.2-0.8%)で、WHOが勧める上限摂取量を下回っています。
ただし個々にみるとそれ以上摂っている人もいるので油断できません。
たとえば日本の4都市に住む30-69歳の男女225人を16日間調べた調査では、男性の5.7%、女性の24.4%がこの上限摂取量をオーバーしていたといいます。

多く含む食品

  • ショートニング、マーガリン、ファットスプレッド、油の多い菓子類(クッキー、パイ、ケーキ、菓子パン)など

効率よく摂るには

男性では油脂類から、女性では菓子類から、トランス脂肪酸を多く摂る傾向があるとのこと。
トランス脂肪酸を摂りすぎないようにするには、まずはこのような脂質の多い食品を摂りすぎていないか見直してみましょう。

新規会員登録

会員登録すると、健康管理やダイエットに必要な記録ができる『イースマ☆ノート』をご利用いただけます。
会員登録はすべて無料ですので、是非ご利用ください。