脂肪酸 - 栄養素を知ろう!

私たちの体にどんな影響を与えるのか?
特徴や働きを知りましょう。

特徴

脂肪酸はグリセリンとともに、脂質の材料になっています。
サラダ油に多いリノール酸やオリーブ油に多いオレイン酸など、40以上の種類があります。

  脂肪酸は炭素原子が鎖のように長くつながったものが土台となっています。
炭素原子同士は、1本の手でつながっている場合(一重結合)と2本の手でつながっている場合(二重結合)があり、すべて一重結合でつながっているものを「飽和脂肪酸」、二重結合がひとつ以上あるものを「不飽和脂肪酸」といい、不飽和脂肪酸はさらに、二重結合がひとつだけの「一価不飽和脂肪酸」と2つ以上の「多価不飽和脂肪酸」に分けられます。

  脂肪酸の炭素原子の手のつなぎ方、つながりの長さなどは、その脂肪酸を持つ脂質の性質を左右します。

働き

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸では働きが違う

飽和脂肪酸は、肉や乳製品の脂肪に多く含まれます。
エネルギー源や細胞膜の材料となりますが、過剰に摂ると中性脂肪やコレステロールを増やし、肥満や脂質異常症などを引き起こします。

不飽和脂肪酸は、植物の油や魚の脂肪に多く含まれます。
やはりエネルギー源や細胞膜の材料となるほか、炎症を起こしたり血液を固めたりといった、体のしくみに働く生理活性物質の材料となります。
摂りすぎは肥満や脂質異常症などの原因となりますが、適量なら余分な中性脂肪やコレステロールを下げるという有効な働きもします。

炭素の鎖の長さによって脂質の燃えやすさが違う

通常脂質は吸収されたあと、リンパ管・静脈を通って体内のいろいろな場所に運ばれていきます。
しかし炭素が8-10個つながった鎖からなる中鎖脂肪酸の脂質は、吸収されると代謝が活発な肝臓に直行するため、速やかに燃えてエネルギーになります。
そのため、体に脂肪がつきにいくいといわれています。

数によって、脂質の燃えやすさが違う

グリセリンに脂肪酸が2つ付いた「ジアシルグリセロール」という脂質は、3つ付いた「トリアシルグリセロール」に比べ、吸収後も中性脂肪になりにくく、速やかに燃えてエネルギーになります。
そのため、体に脂肪がつきにくいといわれています。
また胃をすばやく通過し胃もたれしにくいという特長もあります。

※ジアシルグリセロールは、天然の脂質にはごく少量しか含まれないため、大量に摂った場合の安全性については不明な部分も残っています。
食品安全委員会(内閣府)は2015年に、「ジアシルグリセロールは通常の食品として適切に摂る限り、 安全性に問題はない」という評価報告を出しました。
ただしジアシルグリセロールを多く含む加工食品は、2009年に製造販売が中止されており、十分なデータがない中での評価となっています。
そのため評価として完結したわけではないとも述べています。
なお同時に評価された、油の製造過程で生まれる「グリシドール脂肪酸エステル」は、「グリシドール」という成分に変化した場合にガンの原因になる可能性が否定できないため、製造時にできるだけ取り除くべきと報告しています。

脂肪酸が不足すると…

疲労、発育不良、皮膚炎など

脂肪酸を摂りすぎると…

肥満、脂質異常症、動脈硬化など

マメ知識

不飽和脂肪酸のうち、リノール酸、α-リノレン酸は体内で他の脂肪酸から合成できないため、必ず食事から摂らなくてはならない「必須脂肪酸」です。
一方、飽和脂肪酸はいずれも体内で合成でき、必須脂肪酸となるものはありません。

多く含む食品

効率よく摂るには

脂肪酸の体内の働きのバランスをとるには、飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸は3:4:3、多価不飽和脂肪酸のn-3系脂肪酸:n-6系脂肪酸は1:4の割合で摂るとよいとされています。

肉の脂身やバターを摂りすぎない

飽和脂肪酸は肉の脂身やバターに多く含まれているので、これらの摂りすぎに気をつけます。
バターは他の油脂に置き換えるのも手です。

魚も食べる

魚を食べないとn-3系脂肪酸が不足し、n-3系脂肪酸:n-6系脂肪酸が1:7~1:8ほどになることもあります。
1日平均1回は魚を食べるようにすると、目標バランスに近づきます。

油を使った料理にかたよらない

炒め物や揚げ物に使う植物油はn-6系脂肪酸が多く含まれるため、これらの料理が多いとn-3系に対してn-6系が過剰になります。
食事のときは、油主体の調理法が重ならないように注意します。

ワンポイントアドバイス

パンにバターを塗るかわりに、オリーブオイルをつけると、飽和脂肪酸を一価不飽和脂肪酸に置き換えることができます。
また不足しがちなn-3系脂肪酸を多く含む魚の油は、調理で流出しやすいので、刺し身や酢じめ、マリネなどがオススメです。

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