水分 - 栄養素を知ろう!
私たちの体にどんな影響を与えるのか?
特徴や働きを知りましょう。
特徴
水分は人間の体の約60%を占める、生命の源の成分です。
物質を溶かし込んで運んだり、安定した化学反応の場を作ったり、体温調節を助けたりしています。
体重の1%に相当する水分が失われると、のどの渇きを感じ、3%で運動能力や体温調節能力が落ち、5-6%で頭痛や脱力、眠気が見られ、10%以上になると意識障害や全身の臓器の機能低下が起こります。
人は食べ物や飲み物から1日に1500-2000mlの水分を摂っているほか、体内の化学反応で200-300mlくらいの水を作っています。
その一方で、尿、汗、呼気などによって同量の水が体外に出ていくので、水分は日々こまめに摂る必要があります。
気温が高いとき、下痢やおう吐の症状があるとき、長時間の運動後などは、とくに欠乏しやすくなります。
働き
物質の運搬を行う
体内の化学反応の材料を目的の場所に運び込み、生成物や老廃物を運び出し、不要物を体外に捨てます。
脱水すると血液に粘りが出て運搬がスムーズにできなかったり、血液が固まりやすくなったり、尿量が減って体内の不要物を完全に排出できなかったり、腎臓や尿管といった尿の通り道に石ができやすくなったりします。
化学反応の場となる
物質を溶かし込んで化学反応が起こるのを助け、体が必要とする物質やエネルギーを産み出せるようにします。
酸・アルカリのバランス調節にかかわる
体内の化学反応が最適に行われるには、pH(酸性・アルカリ性の度合い)が安定している必要があります。
水はpHバランスを保つための化学反応にかかわり、pH変動のクッション役を果たします。
細胞膜の浸透圧を正常に保つ
ナトリウムやカリウムなど、細胞内外の物質濃度を調整し、細胞膜の浸透圧を正常に保ちます。
体温の調節を助ける
循環して全身に熱を伝えます。
暑いときは蒸発して気化熱を奪い、体温を下げます。
細胞を維持する
細胞の形や性質を保ち、正常に働くようにします。
水分が不足すると…
口の渇き、食欲不振、尿量の減少、運動能力低下、体温上昇、めまい、頭痛、意識障害など
さらに脱水を引き金として、心筋梗塞、脳梗塞、尿路結石などを起こす危険があります。
水分を摂りすぎると…
低ナトリウム血症(疲労感、頭痛、けいれん、意識障害など)
マメ知識
カフェインやアルコールには利尿作用があり、水分の排泄を促します。
水分補給のために飲むなら、カフェインの多い濃いめのお茶類やコーヒー、アルコールを含んだお酒などは控えたほうがいいでしょう。
多く含む食品
- 水、お茶類、コーヒー、ジュース、牛乳、だし汁、スープ、寒天ゼリー、ところ天など
効率よく摂るには
- ・体温を下げるには、水温は5-15度が適切です。
- ・熱中症のときや長時間の運動後など、急いでたくさん水分補給したい場合は、塩分も一緒に摂るほうが効果的です。
体は体液を塩分0.9%に保つようにできていますが、真水を摂ると体液が薄まってしまい、調節のために再び排泄されてしまうからです。
塩水なら、0.1-0.2%塩分(コップ1杯200mlの水に対し、塩ひとつまみ)がもっともスムーズに吸収されます。
あらかじめ塩分が加えられているスポーツドリンクや、薄味の汁物を摂るのもオススメです。 - ・のどが渇いたときには、すでに脱水が始まっています。
暑い日や運動時は、のどが渇いていなくても、意識して早めに給水します。
飲みたいときにすぐ飲めるよう、飲むものを手近に用意しておきましょう。