コレステロール - 栄養素を知ろう!
私たちの体にどんな影響を与えるのか?
特徴や働きを知りましょう。
特徴
脂質の一種です。
細胞膜の成分や、胆汁酸やホルモンの材料になるなど重要な働きがあるため、不足は全身の機能低下につながります。
ただし体内で合成できるため、普通の食事をしていれば、まず不足することはありません。
食事から摂る量よりも、体内で脂質や炭水化物などから合成される量の方が3~4倍多いのが特徴です。
血液中を運ばれる方向によって、善玉コレステロール(HDLコレステロール)、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と呼ばれ、悪玉コレステロールが過剰になると動脈硬化、さらには心筋梗塞、脳梗塞などの原因となります。
働き
善玉コレステロール、悪玉コレステロールとして働く
コレステロールはたんぱく質と結合した形で血流に乗って体内を移動し、身体の各組織に運ばれます。
「組織へ運ばれる」ものを悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と呼びます。
反対に過剰になって「組織から回収される」のが善玉コレステロール(HDLコレステロール)です。
悪玉コレステロールは過剰になると血管壁に入り込み動脈硬化の原因となるため、善玉コレステロールとのバランスが大切です。
細胞膜の成分となる
私たちの身体は、約60兆個の細胞からできています。
コレステロールは脂質の一種で水に溶けないという性質から、細胞内の成分が外側にもれ出ないよう、細胞の外側を構成しています。
そのため不足が起こると細胞が壊れやすくなり、血管がもろくなって脳出血を起こすこともあります。
胆汁酸・ホルモン・ビタミンの材料となる
主に 脂質の消化、吸収を助けるのが胆汁酸という消化液です。
コレステロールはこの胆汁酸の材料となります。
不足すると脂質の消化、吸収が低下しますが、逆に過剰になると胆石ができる原因になります。
また血圧調整やエネルギー産生に関わる副腎皮質ホルモンや、性ホルモン、ビタミンDの材料ともなります。
コレステロールが不足すると…
脳出血など
コレステロールを摂りすぎると…
動脈硬化、胆石症、胆のうガンなど
多く含む食品
- 卵、レバー、フォアグラ、魚卵(たとえばいくら、たらこなど)、あんきも、いか、たこ、えび、しらこ、うなぎ、あなご、わかさぎなど
効率よく摂るには
生活習慣病が社会問題となっている現在は、コレステロール不足よりむしろ、血液中に悪玉コレステロールが多いことや、善玉コレステロールに対し悪玉コレステロールの比率が高いことなどが問題になっています。
コレステロールの量は、食べ物によって影響を受けます。
食べ物のほか、適度な運動も善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らすことがわかっています。
食べすぎ・飲みすぎに気をつける
エネルギー源を摂りすぎると、体内のコレステロールの合成が促され、悪玉コレステロールの増加につながります。
食物繊維を多く摂る
食物繊維は余分なコレステロールを体外に排泄し、悪玉コレステロールを減らすのに役立ちます。
野菜や果物、いも、海藻、きのこ、豆には、食物繊維が多く含まれています。
大豆製品を摂る
大豆たんぱく質には、食物繊維と同様にコレステロールの再吸収を抑える働きがあります。
魚を摂る
DHA,IPAは、中性脂肪の合成を抑え、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やすのに役立ちます。
これは魚(とくに青魚)に多く含まれています。
飽和脂肪酸はほどほどに
飽和脂肪酸は悪玉コレステロールの合成を促します。
肉、卵、乳製品などは、いろいろな栄養素が豊富に含まれますが、飽和脂肪酸も多く含んでいるので、食べすぎには注意します。
ワンポイントアドバイス
貝類、いか、たこ、えび、かになどは、以前は「コレステロールが多いから控えるべき」とされていました。
しかし正確な測定ができるようになった現在では、実際のコレステロールの量は、昔いわれていたよりは少ないことがわかっています。
また、これらの魚介類はコレステロールの代謝を助けるタウリンも多く含んでいますし、そもそも食品のコレステロールより、体内で合成されるコレステロールのほうがはるかに多いので、過度に避ける必要はありません。