アルコール - 栄養素を知ろう!

私たちの体にどんな影響を与えるのか?
特徴や働きを知りましょう。

特徴

アルコール(エタノール)は酒類の主成分で、お酒を飲んだときの「酔い」の原因物質です。
刺激性があるので、口内、のど、食道、胃、十二指腸などを通過するときに粘膜を痛める危険があります。

アルコールは摂った数分後から体内に吸収されはじめます。
1-10%はそのまま汗、尿、呼気に排出されますが、残りは体内をめぐって30分-1時間後くらいに脳に到達し、中枢神経に働いて、その働きの一部を麻痺させます。
体内のアルコールはやがて肝臓で解毒され、さらに分解されて体外に排泄されますが、その過程でエネルギーを産み出します。

適量摂っている人では死亡率が下がる傾向があり、まさに「百薬の長」となりますが、摂りすぎると身体的・精神的・社会的に重大な症状を引き起こします。

働き

理性のコントロールを抑制する

アルコールは中枢神経に働いて麻痺させ、理性的なコントロールを抑制し、抑えられていた感情を開放します。
そのため適量なら気持ちを高揚させたり、ストレスを和らげたり、他人とのコミュニケーションを円滑に進めるのを助けたりします。

しかし飲みすぎると正常な判断・反応ができなくなり、問題行動を起こしてしまうこともあります。
さらに飲みすぎると意識不明、運動失調などが起こり、最悪の場合、死に至ります。

エネルギーを産生する

体内に摂り込まれたアルコールは、まずアセトアルデヒドという有毒物質に変化します。
これは解毒されて酢酸となり、さらに水と二酸化炭素に分解され、その過程でエネルギーを産み出します。
その一部は体熱となって発散されるため、お酒を飲むと暑くなります。

アルコール1gは約7kcalで、炭水化物と脂質の中間くらいのエネルギー(カロリー)量です。

水分の排泄を促す

アルコールは尿量を調節するホルモンの分泌を抑え、尿を出させる作用があります。
お酒を飲むとトイレに行きたくなったりのどが渇いたりするのはそのためです。

脂質の合成を促す

アルコールは脂質の合成を活発化します。
余分に作られた脂質は中性脂肪として血液に放出されたり、内臓や皮下脂肪細胞に蓄えられて、肥満の原因となったりします。

アルコールが不足すると…

必須な成分ではないので不足することはなく、飲酒の習慣がない人が無理に飲む必要はありません。

アルコールを摂りすぎると…

顔面紅潮、意識喪失、運動失調(ふらつき、千鳥足など)、急性アルコール中毒、二日酔い、胃・十二指腸潰瘍、食道炎、肝障害(脂肪肝、肝炎、肝硬変)、高血圧、高血糖、痛風、ビタミン欠乏症、ミネラル欠乏症、脳卒中、がん、うつ、アルコール依存症

マメ知識

アルコールの処理速度は、体重1kgあたり1時間に約0.1g。
体重60kgの人がビールを中瓶1本(500ml)飲むと、3時間はアルコールが抜けない計算になります。

健康のための節度ある飲酒の量は、1日約20gとされています。
ただし日本人の1割の人はアセトアルデヒドを処理する酵素がなく、4割の人は酵素があっても働きが弱いとのこと。
また女性や高齢者では、アルコールの処理能力は総じて低くなります。
20gを超えないようにするだけでなく、ほろ酔い程度でとどめておくという意識も大切です。

多く含む食品

  • 酒(日本酒、ビール、ワイン、ウイスキー、焼酎など)

効率よく摂るには

飲んだときの刺激をやわらげ、吸収は遅らせ、排泄は速めるような飲み方がオススメです。

空腹で飲まない

空腹だとアルコールの吸収が早まり、胃への刺激も強くなります。
空腹のときは、必ずおつまみも準備しましょう。
刺し身、枝豆、冷奴、チーズ、ナッツなどは、用意が簡単で、アルコール処理能力を良好に保つたんぱく質や、胃粘膜保護効果が高い脂質も多く含んでいます。

水分補給をしっかりと

飲む前の水分補給は、いっき飲みの防止や、アルコールの素早い排泄に役立ちます。
飲んでいる最中や飲んだ後の水分補給は、口内やのどに残ったアルコールを洗い流して刺激を和らげたり、脱水を防いだりします。
外で飲むときは、水やお茶類、発泡性ミネラルウォーターなども注文しておきしましょう。

消耗するビタミン・ミネラルをたっぷりと

アルコールの処理や排泄では、多くのビタミンやミネラルを消耗します。
とくに、ビタミンB1ビタミンB6ビタミンB12ナイアシンマグネシウム亜鉛カリウムなどは消耗しやすいので、多く含む食品を十分摂りたいものです。

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