食品に含まれる放射性物質の新しい基準 -暫定基準値と新基準値、どう違う?-:教えて!イースマ

食品に含まれる放射性物質の新しい基準
-暫定基準値と新基準値、どう違う?-

 東日本大震災から1年余り、被災地の復興も少しずつ進んでいるようです。しかし支援の手はまだまだ必要。このゴールデンウィークにはボランティアに駆けつけた人も多かったそうで、これからも被災地のために、それぞれ自分にできることを続けていきたいですね。


 震災直後には食品の「暫定基準値」ができました。食品からの被ばくによって健康を損ねることがないよう、放射性物質に汚染された食品を売ったり食べたりするのを規制する必要があったからですが、「暫定」という名前の通り、一時的なものでした。なぜならこれは、緊急時の救援・復旧活動や食料の調達に支障がないよう、健康への影響はないと考えられる範囲内でややゆるめの規制となっているからです。

 しかし1年前に比べ放射線量はかなり下がり、緊急事態は脱したと考えられます。そこで、より一層の安全と安心のために、2012年4月1日から人体への影響度の基準値が5ミリシーベルトから1ミリシーベルトに引き下げられ、これに対応する食品の基準値も新しくなりました。


 新しい基準値は、放射性セシウム、ストロンチウム、プルトニウム、ルテニウムからの被ばく量が合計で年間1ミリシーベルトを超えないように設定されています。その中で用いられるのはセシウムの基準値。セシウム以外は測定に時間がかかるためです。これは前述の放射性元素全体の影響にセシウムが占める割合をもとにして決められています。


放射性セシウム新旧基準値の比較(単位:ベクレル/kg)

食品グループ 2011年3月
暫定基準値

 

食品グループ 2012年4月
新基準値
飲料水 200   飲料水 10
牛乳・乳製品 200   牛乳 50
野菜類 500   一般食品 100
穀類 500  
肉・卵・魚・その他 500  
乳児用食品   乳児用食品 50

※ お茶や油は抽出したものを、乾物は戻したものを評価します。

※ 実施までに米・牛肉は6か月、大豆は9か月間の猶予があります。


 困るのは、どんな人がどこまでなら摂っても心配ないのかという「正解」がはっきりしていないこと。そのため、安全を見込んでさらに厳しい基準を設ける自治体やメーカーもあるよう。一方で、そのような規制にはお金と時間がかかりますし、利用できるのに捨てられる食べ物も多くなります。被ばく以外の安全性についてはどうなのかも気になるところ。さらに放射性物質に限らず「リスクがゼロ」ということは、どんなに気をつけても科学的にはまずありえないそうで、これは本当に難しい問題です。

 いろんな考え方がありますが、まずは、リスク分散のために同じものばかりでなくいろんな種類の食品を食べること、多少のダメージを受けても修復できる丈夫な体作りを目指すこと、報道に気をつけておくこと、などから心がけてはいかがでしょう。これらは食品の安全に関するどんな問題にも共通する対策です!


■参考資料

1) 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課: 食品中の放射性物質の新たな基準値について 



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