「年取り魚」で冬の栄養補給!:教えて!イースマ

「年取り魚」で冬の栄養補給!

いよいよ年の瀬も押し迫ってきました。お正月の準備は進んでいますか? 大晦日の夜には用事を片付けて、落ち着いて新年を迎えたいですね。

ところで大晦日といえば、「年取り魚」という言葉をご存知でしょうか。これは大晦日の夜やお正月、新年を迎える「年取り膳」に供される魚。関東では塩ざけ、関西では塩ぶりが主流ですが、たい、さんま、いわし、たらなどを食べる地域もあります。年取り魚は歳神様をお迎えするためのごちそうであると同時に、この季節に大切な栄養素を補給してくれる食品でもあります。


■冬の大事な栄養源!
風邪を引きやすい冬は、免疫力を落とさないよう注意したいもの。でもたんぱく質不足だと、免疫力は大きく低下してしまいます。
さけやぶりをはじめとする魚や、肉、卵などは、良質のたんぱく質を多く含んでいます。
こういう食品をあまり口にすることがなかった昔は、年取り魚はたまにしか食べられない貴重なたんぱく源でした。

手足の冷えやすい冬は、とくに血行をよくしたいですね。そこで重要なのが、DHA、IPAといった「n-3系脂肪酸」です。
これらの脂肪酸は血液を流れやすくし、血行を正常に保つのを助けます。
また血液中の中性脂肪を正常に保つのにも役立つので、メタボが気になる人にもうれしい成分です。
あぶらの乗ったさけやぶりには、n-3系脂肪酸が豊富。とくにぶりは、1切れで1日分の目標とすべき量が摂れてしまうほどです。

日照時間が短くなる冬に、とくに不足に気をつけたいのがビタミンD。
免疫力の維持やカルシウムの吸収に深く関わっていて、十分摂った人のほうが死亡率が低い傾向があるため「長寿のビタミン」ともいわれます。
日光を浴びることで体内でも少し作られますが、冬は日に当たる機会が少なくなるため、食べ物からの補給が重要。
ビタミンDが豊富な食物の代表は魚で、さけにはとくに多く含まれています。


■さけは捨てるところなし!
関東の年取り魚の代表であるさけは、「捨てるところがない魚」といわれます。
肉はもちろんいくら(卵)、筋子(卵巣)、白子(精巣)、めふん(腎臓の加工品)などの内臓類は珍味として好まれ、さらに軟骨はなますに、骨は水煮缶詰に加工され、おいしく食べられます。
また、そのまま食べる以外の利用も増えています。白子から抽出したたんぱく質「プロタミン」は、抗菌作用が着目され、食品の保存料に使われています。
皮からとられたたんぱく質「コラーゲン」は、肌のハリの維持が期待されるサプリメントになります。

さけを食べるときに皮を残す人がいますが、栄養を考えたら、皮ごと食べるのがオススメ。
皮にはあぶらが乗っており、DHA、IPA、ビタミンEといったあぶらに溶ける栄養成分や、カルシウムや亜鉛といったミネラル類が豊富。
皮を除いてしまうと、これらの栄養素量は20-25%も減ってしまいます。
こんがり焼けば香ばしくて生臭さもなくなるので、上手に焼いて、ぜひ食べてください。


■出世魚のぶりで、新年の飛躍を願う!
関西の年取り魚の代表であるぶりは、成長につれ名前が変わることから「出世魚」といわれ、縁起のよい食べ物とされます。
関東では、ワカシ(15cm前後)→イナダ→ワラサ→ブリ(80cm以上)、関西では、ツバス(15cm前後)→ハマチ→メジロ→ブリ(80cm以上)のように名前が変わります。
ぶりもまた捨てるところがない魚で、あらを大根と煮たり、頭部(かま)を塩焼きにしたりします。
人間と同じで、成長すると水分が減り、脂肪がアップする傾向があります。
あぶらが乗った分、カロリーは高くなりますが、DHA、IPAといった栄養成分もともに増えるので、敬遠しないようにしたいものです。

今ではひんぱんに口にするようになったさけやぶりですが、大晦日やお正月に食べるものはどこか特別な気がするのは、遺伝子が昔の風習を記憶しているからかもしれません。
また昔も今も、年取り魚が優秀な栄養源であることには変わりありません。
しっかり栄養をもらって、新年も元気にスタートしましょう!

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